新堂冬樹の「カリスマ」が面白い

メフィスト賞を受賞した作家で純愛小説も書けるし、ノワール小説も書くことができる新堂冬樹という作家がいます。彼は異色の経歴の持ち主で元々闇金で働いていた経験があります。それを題材に小説を書きメフィスト賞を受賞したのです。

そんな新堂氏が宗教に関する小説を書きました。タイトルはカリスマです。内容は幼少時代に親が宗教にハマり、父親を殺した挙句自害した母親、それを見て育ち神様なんか信用しない自分が神様となり神というものを汚すのだ、と思い宗教を立ち上げたのが主人公です。

この主人公、俗物的でトイレにもいくし入信者とセックスもします。そして自分が一番俗物的だと分かっているのでその彼の心境がまた読んでいて面白いのです。

こんな俺を神様メシアだと思っている入信者はバカだと思って暮らしているのです。

物語は三方向から進みます。教祖から見た宗教内、妄信的な信者から見た宗教内、そして新しく家族が入信してしまい困惑する夫からです。

この三方向から物語が進み、本当のカリスマは誰なのか、という点に終結するのです。

教団がどのようにして壊れていくのか、なぜこんな俗物的な教祖を信用してしまったのか、教団に入ってしまった妻はどのようになってしまっているのか、そしてどうして教団に洗脳されてしまったのか、その辺りの書き方が非常に秀逸で読ませる力がある作品です。

小説を読んでいるとたまに現実に戻ってしまうことがあるのですが、この小説は現実に戻らせることをしませんし、少し長い作品ではあるものの三方向から進みますので飽きずに読むことが出来ます。